【読書】素数に憑かれた人たち

素数に憑かれた人たち」ジョン・ダービーシャー 日経BP
リーマン予想を一般の人にも理解できるように噛み砕いて解説した本です。全部で22個の章から構成されており、奇数章は数学に関する解説、偶数章は背景となる歴史や伝記的な内容となっています。奇数章で頭を使った後は偶数章でお話を読み頭を休めることができます。巧みな章構成です。
最初に、「ある自然数Nより小さい素数はいくつあるか」という問いに答える近似式(素数定理)を紹介し、リーマン予想を、ゼータ関数とともに提示します。その後の章を使って、ゼータ関数の零点と「ある自然数Nより小さい素数の個数を表す関数」との間の関係を明らかにしていきます。門外漢の私でもリーマン予想の意味するところを理解した気にさせてくれる良書です。図と表も豊富です。特に印象に残ったのはゼータ関数の零点の間隔分布が、量子力学で扱うランダム・エルミート行列の固有値(エネルギー準位)の間隔分布に一致することでした。この本で初めて知りました。
いつも思います。物理や数学の啓蒙書を書くのが欧米人は抜群に上手いと。

素数に憑かれた人たち ~リーマン予想への挑戦~

素数に憑かれた人たち ~リーマン予想への挑戦~