【読書】ジェノサイド
「ジェノサイド」 高野和明 角川書店
自虐史観で書かれた悪質な小説である。
1. 関東大震災のとき日本人により数千人の朝鮮人が虐殺されたと、主人公が語る場面がある。「朝鮮人が放火をし、井戸に毒を入れている」という流言が原因であると主人公は解説する。これは著者の歴史観なのであろうが、公平ではない。関東大震災に関しては、工藤美代子氏による一次資料を基にした詳細な報告がある。
- 作者: 工藤美代子
- 出版社/メーカー: 産経新聞出版
- 発売日: 2009/12/02
- メディア: 単行本
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2. 残虐な殺戮シーンを解説する場面で「南京大虐殺の際に、日本人が中国人を相手にやった手口だ」と、登場人物の傭兵に語らせている。一次資料を丁寧に読み解けば、南京大虐殺など存在しなかったことは明らかである。戦後、中国共産党と朝日新聞によって広められたプロパガンダであることが、多くの書籍で指摘されている。なお、著者が描く残虐な殺戮シーンは、昭和3年、国民革命軍が行った日本人居留民の殺害の様子と似ていることを指摘しておきたい。
3. 物語の中で、米国がサイバー攻撃を受ける場面がある。攻撃元を調べると中国の人民解放軍であることが判明する。しかし、物語の最後で、人民解放軍は踏み台にされただけであり、犯人は別にいることが分る。そして米国の高官にこう語らせている。「我々は中国の脅威を過大視していました。本日の国家安全保障会議で、対中政策の見直しについて議論したほうがよさそうです」。著者の国防・安全保障観を疑わざるを得ない台詞である。
- 作者: 高野和明
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/03/30
- メディア: 単行本
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