【ザカリア】The U.S.’s political turmoil is ultimately a strength

https://www.washingtonpost.com/opinions/turmoil-rage-and-rebellion-how-the-united-states-flaws-are-its-assets/2016/01/21/2e753326-c06f-11e5-9443-7074c3645405_story.html

概略:
World Economic Forumの席でもDonald Trumpのことは話題となる。話しを聞いた人びとの多くは眉をひそめている。「世界はとても難しい状況に突入しつつある。いま必要なのは舵取りのできる識者である」

世界金融危機以降、いまほど多くの問題を抱えた時期はなかった。その懸念は世界株式市場に反映されている。最悪の事態は回避されるだろうと多くの人びとは未だに信じている。支那は崩壊しない、米国は不況に落ち込まない、ヨーロッパは分裂しないと。しかし、従来の考えは今の状況には当てはまらなくなっている。

Roger Altmanの指摘によれば、石油と農産物の価格は破綻し、支那の成長は落ち込み、ブラジルや南アフリカなどの新興国の成長は終わる。米国ではたとえ完全雇用がほぼ実現したとしても、賃金は上がらず、インフレ率は弱いままであり、金利は低いままであろう。このような予見をした人はこれまでいなかった。さらにISが勃興し、中東から遠くはなれた国でテロ攻撃を引き起こすとは誰も予想しなかった。

米国のようなオープンなシステムは閉鎖的なシステムよりましであろう。米国はこれまでも機能不全となることを経験してきたが、それは問題が可視化され日々議論されているからである。経済戦略、金融政策、安全保障、警察業務、インフラはオープンであり、日々批判され続けている。

この透明性により米国民は情報を持つことができ、問題に対処せざるを得なくなる。大変で時には醜い作業となるが、米国のシステムは、多様かつ矛盾する情報を取り込み反応する。機能不全のように見えるが高い適応性を持つのだ。

閉鎖的なシステムはもっと上手くやれるように見える。支那は世界の羨望の的であった。政府の意思決定能力に世界は目を見張った。成長を続けている間は、そのシステムの効率の良さに驚愕した。しかし、成長は止まった。物事が上手く行っている時はブラックボックスは畏敬を生み出すが、そうでない場合は、その不透明さは疑念と恐怖を引き起こす。

世界経済の最も大きな関心ごとは支那の内部でいま何が起きているのかである。その顕著な不透明性は経済だけに留まらない。政策や統治もブラックボックスである。

今日米国の政治は混乱や反抗のショーケースの体と化している。しかし、最終的にそれは強さに転化する。経済、社会、国は変わりつつある。政治がこれらの変化を吸収できることは強さの証しである。