【ザカリア】How the GOP’s dishonesty led to the rise of Donald Trump and Ted Cruz

https://www.washingtonpost.com/opinions/how-the-gops-dishonesty-led-to-the-rise-of-donald-trump-and-ted-cruz/2016/01/28/d0bfdf8c-c5fb-11e5-a4aa-f25866ba0dc6_story.html

概略:
現在の保守派の衰弱が共和党の支配層を困惑させている。その理由を理解するには、2つの別々に起きている反乱に目を向けなければならない。ひとつはTed Cruzによる反乱、もうひとつはDonald Trumpによる反乱である。

保守派の衰退については、E.J. Dionne Jr.の著作「Why the Right Went Wrong.」に良くまとめられている。共和党議員は60年のあいだ有権者に対し大きな政府を縮小すると約束してきた。50年代と60年代の初め共和党議員はニューディール政策社会保障)に反対していた。その後かれらは医療保険制度を非難した。今で言うオバマケアである。

しかし共和党議員は実際には何もしなかった。Goldwaterを大統領候補に選出し、ニクソンレーガン、そして2人のブッシュを大統領に選出したにも関わらず、さらにはNewt Gingrichによる議会改革にも関わらず、これらの政策を受入れた。

その理由は簡単に説明することができる。すなわち、米国人は理屈の上では福祉国家に反対するが本当は福祉国家が好きなのである。政府支出の多くは中間層に向けられており貧困層には向けられていない。社会保障医療保険制度は非防衛予算の2倍以上の予算を必要とする。中間層向け免除のひとつ --- 企業医療保険に対する免除額 --- は、フードスタンプ制度にかかる予算の3倍以上である。

現実がどうであれ、共和党議員は支持層に向けて約束し続けてきたことを決して守る事はなかったのである。このことが、Dionneがそう呼んだ「大いなる裏切り」につながったのだ。党の活動家は激怒し、騙されたと感じ、ワシントンにいる共和党議員を買収された妥協者とみなした。活動家が望む事は、約束を果たす人物が現れる事である。

Ted Cruzについて考察しよう。第1期目の上院議員が、ワシントンとテキサスの自身の党からも嫌われているにもかかわらず、どのようにしてこれほど速く支持を伸ばしたのか?共和党支配層に反旗を翻し、大きな政府を抑制することを約束したからである。オバマケアを撤回し、国税庁を廃止し、均衡予算を義務づける憲法修正案を提起すると主張している。

一方、トランプの支持者は昔気質の経済リベラル派である。Michael Teslerによれば、トランプ支持者はテッド支持者とかなり趣が異なる。経済的に保守的な共和党員からの支持はテッドの方が15%上回っている。しかし、医療保険制度、税、最低賃金労働組合を支持する共和党員の4分の1からの支持では30%トランプ氏の方が勝っている。トランプ氏自身もこの事実を良く理解している。社会保障医療保険制度にはタッチしないと繰り返し述べ、カナダのsingle-payer systemを好意的に引用し、企業の役員の高給を非難し、社会インフラの整備を約束し、自由貿易反対を表明している。

60年以降、米国の白人の中間労働層は国家の足下の変化に不快感を感じてきた。1960年代の社会改革に不安を感じ、黒人層の反乱と都会の犯罪に怯え、移民の増加に怒りを感じてきた。こうした米国人--- かつては民主党支持者であるか無党派層であった人たち --- こそがトランプ氏を支持するコアな層となっている。

Tesler氏は統計学的に以下のことを示している。「アフリカンアメリカンと移民に恨みを抱き、白人はもっと評価されてしかるべきである考える米国人の中では、トランプ氏支持はだんとつである」。ニューヨークタイムズのNate Cohn氏によると「人種差別の傾向の強い地域ではトランプ氏の支持が高い」。

これらの反乱は避けられなかったのだろうか?共和党有権者に対し正直になり、福祉国家は既にここにあり、自由市場には政府の規制が必要であり、マイノリティや女性への権限付与は時代の流れであり逆に有益なのだと説明していれば避けることができたかもしれない。共和党の役割とは、これらの変化を管理し、有機的にこれらの変化を発展させ、行き過ぎる事なく米国の価値観を維持し続けることであった。しかし、その役割は、ラジカルでない真に保守的な党が担うものである。