【ザカリア】From Iran to Nigeria, cheap oil means perilous politics

https://www.washingtonpost.com/opinions/from-iran-to-nigeria-cheap-oil-means-perilous-politics/2016/02/04/aefcdbb8-cb76-11e5-a7b2-5a2f824b02c9_story.html
概要:
ドナルド・トランプは、イランとの核合意は間違いであると主張している。これは正しいかもしれないと私も思い始めている。ただし別の理由からであるが。イランは期待した利益を得る事ができていない。思い返せば、イランが交渉を始めたのは石油価格が上昇している時期であった。現在イランが目の当たりにしている事はこれまでにない新しい世界である。

イランの視点から見てみよう。イランが暫定措置に合意したのは2013年であった。その年、石油価格は1バレル100ドルまで上昇した。イランのライバルであるサウジアラビアは2012年に経済成長率6%を達成した。サウジは予算を国内国外で惜しげもなく浪費し、2013年の国家予算は19%も上昇した。

一方、イランは孤立し経済は縮小していた。合意によりテヘランが本当に手に入れたかったものは、経済制裁のため行われたアジアやヨーロッパの資産凍結の解除ではなかった。中東第2位の産油国としてマーケットに復活することであった。2010年、イラン当局は、2015年までに石油とガスの国家収入が年2500億ドルに達すると予測していた。これこそがイランが譲歩をしてまで求めていたものである。

先月イランの石油が1バレル30ドル以下でマーケットに流入し始めた。ブルームバーグの計算によると、月23.5億ドル程度にしかならない。イランが、核プログラムを諦めた見返りには全くなっていない。

それにも関わらず、イランは他の産油国より巧みに石油不況に対処することができるだろう。イランの経済はいくらか多様化しており、これまでの経済制裁のおかげで、経済と社会の両面で大きな回復力を備えるようになっている。他の産油国にはない力である。

経済学者によれば、解決策は、構造改革を行い、経済を石油から切り離し、他の産業と人的資産に投資することである。しかし、これを実行することは大変難しい。特に国力が急激に落ち込んでいる時は。

産油国の政府はどこであれ、死活的にキャッシュを必要としている。手っ取り早い手段は、できるだけたくさんの石油をくみ出し世界に供給することである。しかし、これにより石油価格は低い水準のまま留まることになる。

安い石油と危険な政策の新世界へようこそ。