【読書】米国製エリートは本当にすごいのか?

「米国製エリートは本当にすごいのか?」佐々木紀彦 東洋経済新報社

 日本の政治家には国家観がありません。知恵も知識もないので、アウトプットが大変幼稚です。毅然とした政治家を日本人はなぜ持てないのか。そんな思いでこの本を手に取りました。
 著者は自身の留学経験を踏まえて、エリート育成システムが日本にはないと指摘します。「日本には、エリートを選抜し、教育し、競争の中で鍛え抜くシステムがありません。リーダの出現を天に任せているため、継続的に良質なリーダーを生むことができないのです」。著者の留学したスタンフォード大学では学部4年間で最低480冊の課題図書が課されます。授業では、課題図書に対する討論が実施される。徹底的に知識を詰め込み、他者と論争することで知的筋力の育成がなされるわけです。また、歴史的教養も重視されていると著者は指摘しています。
 本書の節々に著者の愛国心を感じることができます。最後に著者は述べます。
『そして最後に、バランスのよい愛国者であるための絶対条件は、「個人としての自立」です。憂国論を述べる前に、「てめえの仕事を立派にこなす」ということです。経済的にも精神的にも自立していないのにもかかわらす、「日本がああだこうだ」と語るのは、偽善的かつ無責任です。「私は国に頼らずとも生きていける。しかし、私は国のために尽くす」。こうした「国に頼らず、国を支える」の精神こそが、バランスよい愛国心を生むのです」』

米国製エリートは本当にすごいのか?

米国製エリートは本当にすごいのか?

経済分野に愛国心ある良識的な記者がいることが素直にうれしい。